第一章
明日は俺の16歳の誕生日だ。
特別な日だと言っても、正直なところ、俺には何も期待する気持ちがなかった。16歳になったからといって、生活が劇的に変わるわけでもない。もう誕生日会を開くような歳でもないし、プレゼントをくれる人もいない。両親は仕事で忙しくて、そんな話をする雰囲気すらなかった。だから、いつも通りの夜を迎えるつもりだった。
風呂上がりにパジャマに着替えて、布団に潜り込む。眠気がじわじわと俺を包み、意識が遠のいていく。すると、突然、奇妙な夢が始まった。
目の前に、白い衣をまとった女神が現れた。長い髪が風に揺れ、透き通った声が俺の耳に届く。
「汝は選ばれし者なり」と、彼女はまるで芝居がかった口調で語り始めた。
「魔界の進入をくい止めるため、汝は魔法少女に選ばれた。魔界の魔物はすでにこの世に紛れ込み、一般人に扮して侵入しておる。」
俺は目を丸くしてその言葉を聞いていた。魔法少女？ 魔界？ 何かの冗談かと思ったが、女神の表情は真剣そのものだ。
「この世界を守るため、汝に魔法の力を授ける。魔界の魔物が現れたとき、汝は魔法少女に変身し、その力で魔物を退治するのだ。」
さらに彼女は続けた。
「魔法少女に選ばれた者は他にも多数おる。お互いに助け合い、魔界の魔物と対峙するのじゃ。」
女神の話を聞いて、俺は呆然とした。なんでこんな変な夢を見るんだろう？ 頭の中で疑問がぐるぐる回る。そもそも俺は男だ。いくら女神に「選ばれた」と言われても、魔法少女になれるわけがない。女の子がキラキラした衣装で戦うイメージしかないのに、俺がそんな役目を担うなんてありえないだろう。
そう思っているうちに、夢の中の光景がぼやけ始めた。女神の姿が薄れ、俺は深い眠りに落ちていった。
朝、目が覚めたとき、妙な気分だった。夢の内容があまりにも鮮明で、頭から離れない。あんな馬鹿げた話なのに、どこか現実味を帯びているような気がして、納得がいかない気持ちが残った。
「魔法少女って…俺が？」
布団の中でつぶやいてみるけど、やっぱり笑いものだ。夢なんてそんなものだろ、と自分に言い聞かせて、俺はいつもの朝を迎えた。
ただ、そのときはまだ気づいていなかった。
この夢が、俺の人生を根底から変えるきっかけだったなんて。
第二章
朝食を済ませ、俺はいつものように制服に着替えて家を出た。地下鉄の駅までは歩いて10分ほど。階段を下りてホームに立つと、電車が来るのを待つ。いつもと同じ朝だと思っていた。電車がホームに滑り込み、ドアが開く。俺は人混みに押されるように乗り込んで、つり革につかまった。朝のラッシュ時だから、車内はぎゅうぎゅうだ。それでも、これも毎日のこと。慣れたもんだ、と自分に言い聞かせていた。ところが、電車が動き出してしばらくすると、何かおかしいことに気づいた。
電車が揺れるたびに、俺のお尻に妙な感触が伝わってくる。最初は軽く手のひらが当たる程度だった。誰かの手が混雑で偶然触れただけだろうと思ったけど、その感触が一度で終わらない。微妙に動く指先が、お尻の丸みをなぞるように這うのが分かった。ゾワッとした感覚が背筋を走り、俺は一瞬息を止めた。痴漢だ、と気づいた瞬間、心臓がドクンと跳ねた。
俺は男だから、今までこんな目に遭ったことはなかった。友達が冗談半分に「男でも痴漢に狙われる奴いるらしいぜ」なんて笑いものにしてたのを思い出したけど、まさか自分がその標的になるなんて想像もしてなかった。気持ち悪いというより、まず信じられない気持ちが強かった。頭の中で「いやいや、俺に触って何が楽しいんだよ」と突っ込みつつも、体は硬直してしまって、どう動けばいいのか分からない。
すると突然、お尻の下から手が大胆に差し込まれてきた。指先がスカートの裾をくぐり、太ももの内側をゆっくり這う感触に、俺はドキッとして体が跳ねそうになった。待て、ズボン履いてるはずだろ、と思った瞬間、足元を見下ろして愕然とした。俺、ズボンじゃなくてスカートを履いてる。しかも膝上どころか、太ももが半分以上露出するくらい短いスカートだ。白いセーラー服に赤いスカーフ、プリーツが揺れる女の子の制服。胸をブラジャーが締めつけていて、下着もいつものトランクスではなく女物のパンティーらしい。こんな格好じゃ、女と間違えられて痴漢に狙われてもおかしくない。でも、俺はこんな服を着た覚えなんてない。慌てて自分の体を確認すると、男の制服はどこにもなく、完全に女子高生の姿だった。
「俺、いったいどうなってんだ…？」
混乱で頭がぐちゃぐちゃになりながら、昨夜の夢がフラッシュバックしてきた。女神の声が響く。「魔界の魔物が現れたとき、汝は魔法少女に変身する」。まさかこの痴漢が魔物で、俺が魔法少女に変身したってのか？ セーラー服がその証拠だとしたら、話が繋がる。でも、そんな馬鹿げたことが現実にあるはずないだろ、と必死で否定した。否定したいのに、他に説明がつかない状況に、頭がパニックに陥りそうだった。
痴漢の手は、俺が抵抗しないのをいいことに、さらに大胆になってきた。スカートの裾をまくり上げるように指が這い上がり、太ももの柔らかい内側をじっくり撫で回す。生暖かい手のひらが肌に吸い付く感触に、鳥肌が立った。気持ち悪いのに、なぜか体が熱くなってきて、俺はそれに戸惑った。嫌なのに、どこかで「逃げなきゃ」と思うのに、体が思うように動かない。そしてついに、手がスカートの下に潜り込み、パンティーの上から敏感な所を直接擦ってきた。
「うっ…！」
鋭い快感が電流みたいに体を貫いて、俺は思わず小さく声を漏らしてしまった。頭が真っ白になり、膝がガクッと震えた。気持ち悪いはずなのに、体の奥から湧き上がる熱と疼きに、どうしていいか分からない。痴漢の指が執拗に動き回り、布越しに敏感な部分を何度も擦られるたび、俺の心は嫌悪と混乱でいっぱいだった。こんな目に遭うなんてありえない、早く終わってくれと願うのに、電車はまだ次の駅に着かない。魔法少女ってこんな屈辱まで味わうのかよ、と心の中で叫びながら、俺はその場に立ち尽くすしかなかった。
第三章
電車がようやく学校の最寄り駅に着いたとき、俺は必死でホームに飛び降りた。心臓がバクバクして、頭の中はまだあの痴漢の手の感触で埋め尽くされていた。気持ち悪いのに体が熱くて、嫌悪と混乱が絡み合ってどうしようもない。深呼吸して気持ちを落ち着けようとしたけど、後ろから足音が近づいてくるのに気づいた。振り返ると、あの痴漢の男が俺を追うようにホームに降りてきていた。一瞬、体が凍りついた。こいつ、電車の中だけで終わらせる気はないのか？ 男の顔をよく見てみた。スーツを着たサラリーマン風で、薄い笑みを浮かべているけど、目が妙に冷たくて不気味だ。魔界の魔物なのかどうか分からないけど、ただの痴漢じゃない予感がした。
俺は学校に向かおうと急ぎ足で歩き始めたけど、すぐに立ち止まった。男子校にこんなセーラー服姿で行けるわけがない。家に帰るのも無理だ。こんな格好で親に会えない。どうしようか迷ってると、ふと、学校帰りに寄る神社のことを思い出した。人気が少なくて落ち着ける場所なら、少し考えを整理できるかもしれない。決めたらすぐ行動だ。俺は学校と反対方向に曲がり、神社に向かって歩き出した。後ろをチラッと見ると、男がまだついてきてる。なら、ここで決着をつけてやる。俺はわざとゆっくり歩いて、男が追いやすいように誘導しながら境内に入った。
賽銭箱の前で立ち止まり、待つ。静かな境内に俺の荒い息遣いだけが響く。すると、後ろから男が近づいてきて、いきなり腰を押しつけてきた。お尻に硬い感触が当たって、電車での嫌な記憶が蘇る。今だ！ 俺は振り返り、両手で男の胸を全力で突き飛ばした。男はバランスを崩して後ろに倒れ、地面に尻餅をついた。立ち上がろうとするのを見て、俺は勢いのまま男の上に馬乗りになり、拳を振り上げた。でも、次の瞬間、俺の体が宙を舞った。柔道の巴投げだ。男が素早く体を捻り、俺を軽々と投げ飛ばした。頭から石畳に叩きつけられ、激痛で視界がチカチカした。起き上がろうとしたけど、頭がクラクラしてすぐには動けない。
その隙に、男が後ろから俺を抱え込んできた。力強い腕に締め上げられて、振りほどこうとしてもびくともしない。男の手を見ると、獣みたいな黒い毛がびっしり生えてる。やっぱりこいつ、魔界の魔物だ。確信した瞬間、首筋にヌルッとした舌が這う感触がして、全身に鳥肌が立った。生暖かい舌が首から耳の裏までゆっくり舐め上げて、ゾクゾクする嫌悪感が湧き上がる。男の手がセーラー服の上から胸を鷲掴みにし、指先で乳首の辺りを執拗に擦ってきた。布越しでも敏感に反応してしまって、俺は唇を噛んで声を抑えた。もう一方の手はスカートの下に潜り込み、パンティーの上からクリトリスを弄り始めた。指が円を描くように動くたび、鋭い快感が走って、体が勝手にビクッと震える。頭では「やめろ」と叫んでるのに、体が熱くなって抵抗する力が抜けていく。
男が俺のパンティーを膝まで下ろすと、毛むくじゃらの下半身が俺の太ももに触れた。熱くて硬いものがお尻の割れ目に擦りつけられて、俺は息を呑んだ。そして、次の瞬間、男が腰を押し進め、一気に奥まで突き入れられた。熱い塊が俺の中を押し広げる感覚に、思わず「うぁっ…！」と声が漏れた。濡れた内壁を擦りながら、太いものが根元まで埋まる。男が腰を引いてまた押し込むたび、ズンッとした衝撃と一緒に、体の奥から湧き上がる疼きが止まらない。嫌なのに、頭がぼんやりしてきて、快感が波のように押し寄せる。男の毛深い手が俺の腰を掴み、前後に激しく動き始めると、擦れるたびに甘い電流が背筋を駆け上がった。気持ち悪いはずなのに、体が勝手に熱くなって、膝がガクガク震える。こんな感覚、初めてで、どうしていいか分からない。頭では拒絶してるのに、体の奥が疼いて、力がどんどん抜けていく。
男の腰の動きがさらに激しくなり、息が荒くなって俺の耳元で響く。このままじゃまずいと焦った。なんとかしなきゃ。俺は最後の力を振り絞り、体を起こして後ろに倒れ込んだ。タイミングが良かったのか、男の体が俺の背中に押されて石畳に叩きつけられた。今度は投げられないように、俺は素早く男の股間を蹴り上げた。魔物だろうと急所は急所らしい。男が苦悶の声を上げた瞬間、その体が急に縮み始めた。みるみる小さくなり、手のひらサイズの黒い塊に変わった。息を切らしながら見つめていると、黒い塊は煙みたいに消えてなくなった。魔界の魔物退治には成功したみたいだ。でも、この先どうすればいいのか、俺にはまるで分からなかった。
第四章
魔物の体が煙のように消えた後、俺はしばらくその場にへたり込んでいた。息が整わず、頭の中はさっきの出来事でぐちゃぐちゃだ。気持ち悪いはずの感触がまだ体に残ってるみたいで、首筋や太ももの内側が妙に熱い。セーラー服のスカートは乱れたままで、石畳の冷たさが膝に染みる。なんとか立ち上がって服を整えたけど、この先どうすればいいのかまるで分からない。
ふと、神社の隅にあるトイレが目に入った。少し冷静になるためにも、自分の姿をちゃんと確認したほうがいいかもしれない。フラフラしながらトイレに入り、洗面台の前に立つ。鏡に映った姿を見て、俺は息を呑んだ。そこにいたのは、男の俺じゃなくて、まるで別人のような可愛らしい少女だった。肩まで伸びた黒髪は自然なウェーブがかかり、先端が少し内側にカールしている。大きな瞳は深い茶色で、長いまつ毛が縁取っていて、驚いた表情の俺をじっと見つめている。頬はほんのりピンクに染まり、唇は小さくて柔らかそうな赤みがある。白いセーラー服の襟が首元できれいに揃い、赤いスカーフが胸元で結ばれて揺れている。スカートは短くて、細い足が膝上まで露出していて、まるでアニメや漫画から飛び出してきたような完璧な女子高生の姿だ。鏡の中の少女が俺と同じ動きをするのを見て、目を擦ったけど、何度見ても変わらない。現実だと認めざるを得なかった。
試しに胸に手を当ててみると、柔らかい膨らみが確かにそこにあって、本物の感触が手に伝わってくる。男の平らな胸じゃない。驚きと一緒に、妙な現実感が押し寄せてきた。さらに恐る恐るスカートを少し持ち上げて股間を確認すると、可愛らしいピンクのパンティーを履いてる。あるはずのものが完全に消えてて、代わりに滑らかなラインがあるだけだ。呆然としながら、パンティーの上から痴漢に触られた敏感な所をそっと指で押してみた。すると、鋭い快感が電流みたいに走って、俺は「ひっ…！」と小さく声を上げてしまった。敏感すぎて、体がビクッと震える。こんな感覚、男だった俺にはありえなかった。自分でも怖くなって、慌てて手を引っ込めた。
とりあえず、もとの体に戻れるかもしれないと期待した。魔物を退治したんだから、女神の言った「魔法少女」の役目が終わり、元の男の姿に戻れるんじゃないか。でも、スカートを履いたままの足を見下ろすと、そんな希望は薄い気がしてきた。このまま魔法少女の姿で固定されたらどうしよう。男子校には行けないし、家に帰って親に「ただいま」と言うわけにもいかない。友達に会うのだって、この格好じゃ笑いものだ。
頭を巡らせていると、ふとテレビで見た話を思い出した。家出した少女たちが渋谷のセンター街に集まるってやつだ。不健全な商売で働かせる業者がいるらしいとか、そんな内容だった気がする。具体的に何なのかはよく分からないけど、少なくとも泊まる場所くらいは用意してくれるんじゃないか。一部屋に大勢で雑魚寝でも、今みたいに途方に暮れるよりはマシだ。財布を確かめると、電車賃と少し余裕がある。よし、渋谷に行ってみよう。
電車に乗って渋谷駅に着いたけど、地下道が複雑でどこから上がればいいのか分からない。標識を頼りに階段を上がり、なんとか駅前に出た。目の前にスクランブル交差点が広がっていて、信号を渡るとセンター街にたどり着いた。まだ昼間なのに、人通りがすごい。歩いてるだけで肩がぶつかりそうになる。若い女の子や、俺と同じようなセーラー服の女子高生もたくさんいて、テレビで見た通りだなと思った。少し緊張しながら歩いていると、ケンタッキーの看板が目に入った。財布にコーヒー代くらいはある。疲れたし、一休みしよう。
レジでコーヒーを注文してトレーを持ったけど、店内は混んでて席が空いてない。しばらく立って待ってると、ようやく一席空いたので座った。コーヒーをすすりながら、俺は今日の出来事を振り返った。夜中に女神の夢を見て、朝に痴漢に遭って魔法少女に変身し、神社で魔界の魔物をやっつけた。なんでこんなことになったのか理由は分からないけど、全部現実だった。コーヒーの苦味が口に広がるたび、少し冷静になってきた。でも、ふとカップを手に持った瞬間、神社で魔物に挿入されたときの感触がリアルに体に蘇ってきた。熱くて硬いものが俺の中を押し広げ、奥まで突き入れられたあの感覚。濡れた内壁を擦られるたびの疼きと、嫌なのに湧き上がった快感が、まるで今この場で再現されるように鮮明で、俺は思わず体を硬くした。
困惑が胸を締め付ける。絶対に嫌だ。あんな気持ち悪いことは二度と体験したくない、と強く思う。でも、同時に、心のどこかで「もう一度あの感覚を味わいたい」という衝動が湧いてきて、俺は自分に驚いた。嫌悪と欲望が心の中でぶつかり合って、どうしていいか分からない。頭では拒絶してるのに、体があの快感を覚えてて、勝手に熱くなってくるのが怖い。女の体って、一体どうなってるんだ？ 男だった俺には想像もつかない感覚が次々襲ってきて、こんな体でいることに悩みが深まるばかりだ。男ならこんな葛藤なんてなかったのに。女の体がこんなに敏感で、こんなに複雑だなんて知らなかった。どうすればこの気持ちを整理できるのか分からないまま、俺はコーヒーカップを握り潰しそうなくらい強く持って、窓の外をぼんやり眺めた。
これからどうするかはまだ決められない。渋谷に来たはいいけど、具体的な当てがあるわけじゃない。家出少女が集まるってだけで、ここで何ができるのか、どうやって生きていけばいいのか、全然分からない。とりあえず、コーヒーを飲み終わるまでは、ここで少し頭を整理しよう。そう思って、カップを手に持ったまま、俺は混乱した気持ちを抱えたまま座っていた。
第五章
コーヒーを飲みながら窓の外を眺めていると、ふと誰かに声をかけられた。「その席、座っていいわよね？」
顔を上げると、目の前に女子高生が立っていた。長い髪をポニーテールにまとめた、明るい雰囲気の女の子だ。俺は一瞬、彼女の制服が俺と同じセーラー服だってことに気づいてドキッとした。白い襟に赤いスカーフ、短いプリーツスカート。まるで鏡を見てるみたいだ。どう返事しようか迷ったけど、俺が何か言う前に、彼女は勝手に俺の前の席にドカッと座った。
「あなた、魔法少女でしょう。それも、魔法少女になったばかりの新人ね」と、彼女がニヤッと笑いながら言い出した。
俺は目を丸くした。いきなり何だ？ と思ったけど、彼女はさらに続けた。
「私も魔法少女なのよ。真理子って言うの。よろしくね！」
その言葉で、彼女が同じセーラー服を着てる理由が分かった。女神が夢で言ってた、「魔法少女に選ばれた者は他にも多数おる」ってやつだ。俺一人じゃなくて、他にも魔法少女がいるらしい。少しホッとしたけど、同時に不安も湧いてきた。こいつ、俺の状況をどうやって知ったんだ？
「どうしたら元の体に戻れるんですか？」
俺は一番気になってたことをストレートに聞いてみた。男に戻りたい。それが今の俺の切実な願いだ。
真理子ちゃんは肩をすくめて笑った。
「それが分かれば苦労しないわよ。でも、元に戻る必要なんて全然ないのよ。魔法少女ってめっちゃ楽しいんだから！」
その言葉に、俺は余計に心配になった。楽しいって何だよ？ 今朝みたいに痴漢に襲われて、魔物と戦うのが仕事だろ？ 毎日あんな目に遭うなんて絶対嫌だ。それに、魔法が使えるって言っても、いつも勝てる保証はない。神社での戦いだって、運が良かっただけかもしれない。
「魔法少女になって何がそんなに楽しいんですか？」
俺は半信半疑で聞いてみた。
真理子ちゃんは目をキラキラさせて答えた。
「何！？ まず学校に行かなくていいし、美味しいもの食べられるし。女の子だからおしゃれもできるし、男の子と遊べるし、毎日楽しくて最高なのよ！」
そのテンションに、俺は全然ついていけなかった。学校に行かなくていいのはまあ分かる。でも、美味しいものって何だ？ おしゃれって、こんなスカート履いてるだけで十分恥ずかしいのに、さらに飾り立てるのか？ それに、男の子と遊ぶって何だよ。男の俺にはさっぱり分からない。
「男の子と遊ぶのがそんなに楽しいんですか？」
俺はつい聞き返した。
「もちろんよ！ ゲーセンで一緒にプリクラ撮ったり、カラオケしたり、それに夜の公園だって二人っきりで行けるのよ！」
真理子ちゃんは楽しそうにまくし立てた。夜の公園って、塾帰りに通ったとき、ベンチでカップルが抱き合ってキスしてる怪しげな場所だろ。あれが楽しいのか？ 女の子って、男と抱き合ってキスするのがそんなに好きなのか？
「男の子にナンパされてラブホに誘われたりするのも、女の子なら最高に幸せなのよ！」
真理子ちゃんがニコニコしながら言うのを聞いて、俺はなんとなく「女の子ってそういうものなのか」と納得しかけた。でも、同時にぞっとした。そんなの、俺には絶対無理だ。
「でも、食事とかどうするんですか？ 魔法少女だからってお腹減らないわけじゃないでしょう」
俺は現実的な問題を聞いてみた。
すると、真理子ちゃんが目を輝かせて言った。
「それならいいアルバイトを紹介するよ。魔法少女にぴったりのバイトなの。私が紹介してあげる！」
その言葉に、俺はちょっと興味が湧いた。泊まる場所もないし、金も必要だ。都合がいい話かもしれない。
「他にも魔法少女がいるんですか？ そのバイトしてる魔法少女もいるんですか？」
俺が聞くと、真理子ちゃんは即答した。
「もちろんよ！ このバイトすると魔力が強くなって、魔界の魔物も簡単に退治できるの。それに、すっごく楽しいバイトなの！」
魔力が強くなるってのは魅力的だ。神社での戦いを思い出すと、もう少し力があれば楽に勝てたかもしれない。
「一日いくらもらえるんですか？」
俺が聞くと、真理子ちゃんはさらに力説してきた。
「お金はいっぱいもらえるし、食事の心配も寝る場所の心配もしなくていいの。それに、毎日楽しくて楽しくて、魔法少女になって本当によかったって実感できるバイトなのよ！」
その勢いに押されて、俺はつい「魔物を退治するバイトなのかな」と思った。でも、魔物と戦うのがそんなに楽しいとは思えない。どんなバイトなのか、ちゃんと確かめた方がいい気がしてきた。
第六章
「それで、どんなバイトなんですか？」
俺が少し警戒しながら聞くと、真理子ちゃんはニヤッとした笑みを浮かべて逆に聞いてきた。
「あなた、デリヘルって知ってるわよね？」
その言葉に、俺は一瞬固まった。デリヘルって…聞いたことはある。友達が下ネタで盛り上がるときに「風俗で女が男を相手にするやつ」とか言ってたけど、具体的に何をするのかまでは知らない。興味なかったし、そんな話に深入りするタイプでもない。でも、魔法少女とデリヘルがどう繋がるんだ？
「デリヘルって何ですか？」
俺は素直に聞いてみた。知ってるふりするのも面倒だったし、ちゃんと説明してほしいと思った。
真理子ちゃんは目をキラキラさせて答えた。
「デリヘルってね、格好いい素敵な男の子とデートして、食事したり、カラオケしたりする、とっても楽しいバイトなのよ。魔法少女にはぴったし！」
その説明に、俺は首をかしげた。デート？ 食事？ カラオケ？ なんか怪しすぎる。確かに楽しそうには聞こえるけど、それだけでお金が「いっぱいもらえる」ってのはありえないだろ。裏があるに決まってる。
「カラオケの後は何するんですか？」
俺は気になったから、さらに突っ込んで聞いてみた。
真理子ちゃんは少し意味深な笑みを浮かべて言った。
「それはね、二人っきりになって、とっても楽しいことをするのよ。男と女が楽しいことするって、分かるわよね？」
その言い方に、俺は「あ、やっぱり」と思った。カラオケの後が本番ってわけか。頭の中で友達の下ネタトークが蘇ってきて、風俗ってそういうエッチなサービスがメインなんだろって気づいた。
「夜の公園に行ったりするんですか？」
俺がさらに聞くと、真理子ちゃんはあっけらかんと答えた。
「あなたが夜の公園に行きたかったら、自分から誘ってもいいのよ！」
どう考えても怪しい。普通の女の子が気軽にやるようなバイトじゃない気がする。
「あなた、魔法少女なんでしょう？ 魔法少女になったら一番にしたいことは、男の子とおつきあいすることよね」と、真理子ちゃんが話題を変えてきた。
「いや、魔法少女って魔界の魔物を退治するのが仕事だって聞いてるんですけど」
俺はちょっとムッとして言い返した。女神の夢でもそう言われたし、俺はさっき魔物と戦ってきたばっかりだ。男と遊ぶために変身したわけじゃない。
すると、真理子ちゃんは真面目な顔で説明し始めた。
「魔界の魔物を退治するには、魔力をたくさん使うのよ。だから、魔力を補充するには男の子とおつきあいする必要があるの」
その言葉に、俺は「なるほど」と少し納得しかけた。魔法少女の秘密が分かってきた気がする。魔力って、戦うためのエネルギーなんだろ？ それが男と付き合うことで補充できるなら、確かに理屈は通る。でも、具体的にはどういうことだ？
「それで、男の子に楽しんでもらえれば魔力がたくさん身につくんですか？」
俺はさらに聞いてみた。
「そう、そうなのよ！ 男の子に喜んでもらう分だけ、たくさん魔力が身につくの。それが魔法少女なの！」
真理子ちゃんは自信満々に頷いた。
「男の子が喜べば、その分だけ自分も楽しめて魔力も増えるのがデリヘルのバイトなのよ！」
その説明を聞いて、俺の中で何かが繋がった。魔物を倒す力が必要なら、このバイトで魔力を貯めておくのは合理的かもしれない。さっきの戦いでも、もっと力があればあんな苦労しなかったはずだ。それに、食事や寝る場所の心配がなくなるってのも魅力的だ。俺、今のままじゃ行き場がないし。
でも、正直まだ迷ってた。男と「楽しいこと」って、具体的に何だよ？ 頭では分かってるけど、体が受け入れる気になれない。でも、他に選択肢がないのも事実だ。
真理子ちゃんがニコッと笑って俺を見つめてくる。
「ねえ、どうする？ やる気になった？」
その明るい声に押されて、俺は覚悟を決めた。
「私、やります。是非やらせて下さい」
思い切って言った瞬間、真理子ちゃんの顔がパッと輝いた。
「やった！ じゃあ、今すぐ案内するね！」
こうして、俺の魔法少女としての新しい一歩が始まろうとしていた。
第七章
真理子ちゃんが「今すぐ案内するよ！」と勢いよく立ち上がったので、俺は慌ててコーヒーカップを置いて彼女についていった。ケンタッキーを出て、センター街の雑踏を進み、細い脇道に入って坂を登ると、小さなビルの前に到着した。古びた外観に看板もない、地味な建物だ。エレベーターで三階に上がると、事務所っぽい部屋に案内された。玄関には女子高生用のローヒールが乱雑に並び、傘立てには木刀が何本も突っ込んである。妙な雰囲気だなと思いながら靴を脱いで奥に進むと、頭の禿げた中年男が待っていた。スーツは着てるけどネクタイが緩んでて、いかにも怪しげだ。部屋の隅にはマットが置かれ、仮眠用だろうか。
「新人の魔法少女見つけたから連れてきました。ここでバイトしたいって言ってます」と真理子ちゃんが報告すると、男はニヤリと笑って金庫から札束を取り出し、彼女に渡した。真理子ちゃんはお金を数えて、「これ、春雄ちゃんの分よ。とっといてね」と一枚を俺にくれた。春雄ちゃんって俺のことか、と戸惑ったけど、どうやら紹介料らしい。魔法少女を連れてくると金がもらえる仕組みか。真理子ちゃんがやけに馴れ馴れしかった理由が分かった。最初から俺をここに誘うつもりだったんだ。
魔法少女のことは何も分からないし、とりあえず彼女の言う通りにするのが安全そうに思えた。男がこっちを見てニヤニヤしながら口を開いた。「春雄ちゃん、フェ××オってしたことあるかな？」いきなり何だよ、と返事に困った。俺は男だ。友達が「フェ××オしてもらうと気持ちいいらしい」と下ネタで盛り上がってたのを聞いたことはあるけど、自分が男にそんなことするなんて考えたこともない。気持ち悪いし、想像するだけで吐き気がする。「この店ではね、フェ××オはやってもらわないと困るんだよ。お客さんがそれ目当てで高い金払ってるんだから」と男が平然と言ってきた。やっぱりそういう店か、と覚悟はしてたけど、実際に聞くと頭がクラクラした。
「フェ××オができないなら雇えないよ。フェ××オが上手かどうか、今試させてもらうよ」と男が言うと、俺は完全に固まった。上手じゃなきゃ雇ってもらえない？ でも、したことないし、どうすればいいのか分からない。焦りが胸を締め付ける。「最初は上手にできないのが当たり前だよ。自分で工夫してみると上手くなるし、友達同士で教え合うのもいいよ」と男がアドバイスしてきた。友達同士で教え合うって何だよ、と思いながらも、後戻りできないと腹をくくった。やるしかない。
男がズボンを脱ぐと、毛むくじゃらの太ももの間から大きくなったモノが飛び出してきた。赤黒くて脈打つそれは、熱気と妙な匂いを放っていて、俺はゴクリと唾を飲んだ。覚悟を決めて口を近づけると、まず先端に唇を当ててみた。熱くて少し湿った感触が唇に伝わり、気持ち悪さがこみ上げる。でも、目を閉じて舌をそっと這わせると、塩気のある味が口に広がった。ゆっくり舌を動かし、先端を舐め回すと、男が小さく息を漏らすのが聞こえた。その反応に、俺の中で何かスイッチが入った。気持ち悪いはずなのに、相手を喜ばせてるって実感が妙な満足感を生んで、もっとやってやろうって気持ちが湧いてきた。口を大きく開けて根本まで咥え込み、舌を絡ませながら上下に動かす。喉の奥に当たる感触に一瞬むせそうになったけど、リズムを整えて吸い上げるようにしてみた。男のモノがさらに硬くなるのが分かって、俺は自分がこんな行為で悦びを感じてることに驚いた。嫌悪感が薄れ、支配してるような感覚が心地よくなってくる。自分でも信じられないけど、この瞬間、俺はフェ××オに没頭していた。
「なかなか上手いじゃないか。フェ××オは合格だ」と男が満足そうに言うのを聞いて、俺はホッと息をついた。気持ち悪いはずなのに、褒められたことが少し嬉しかった。「じゃあ、次は俺が客だと思ってサービスしてもらおうか」と男がいきなり俺をマットに押し倒してきた。仰向けに倒れると、男の酒臭い息が顔に近づき、唇が俺の唇に重なった。荒々しく舌を絡ませてきて、唾液が混じる感触にゾッとした。男の手がセーラー服の上から胸を鷲掴みにし、指先が乳首の周りを円を描くように撫で回す。布越しでも敏感に反応してしまって、俺は唇を噛んで声を抑えた。男が服の隙間から手を滑り込ませると、生の肌に直接触れ、乳首を摘まれて軽く引っ張られた。鋭い快感が走って、体がビクッと跳ねる。もう一方の手はスカートの下に潜り込み、パンティーの上から敏感な所を擦ってきた。指が執拗に動き、湿った布越しに敏感な部分を何度も刺激されると、頭がぼんやりしてきて、背中が自然に仰け反った。男が俺のパンティーを膝まで下ろすと、冷たい空気が太ももに触れ、指が直接敏感な所を弄り始めた。濡れた感触が広がり、円を描くように擦られるたび、甘い疼きが体の奥から湧き上がって抵抗する力が抜けていく。
男が体を重ねてきて、毛むくじゃらの下半身が俺の内ももに擦れた。熱くて硬いモノが割れ目に押し当てられ、先端が少しずつ入り口を広げていく。俺は息を呑み、目を閉じた瞬間、神社で魔物に挿入されたときの感触が鮮明に蘇ってきた。熱い塊が俺の中を押し広げ、濡れた内壁を擦りながら奥まで突き入れられたあの感覚。嫌だったはずなのに、体が覚えたあの疼きと快感が頭を支配して、俺は期待で胸が一杯になった。魔物の毛深いモノが俺を貫いたときの衝撃と甘い波が、今また味わえるかもしれない。そう思うと、心臓がドキドキして、体の奥が疼き始めた。嫌悪感もあるのに、それを上回る期待と好奇心が俺を飲み込んでいく。男が腰をゆっくり押し進めると、熱い塊が内壁を擦りながら奥まで侵入してきた。ズンッとした衝撃と一緒に、押し広げられる感覚が全身を包む。先端が一番奥に当たった瞬間、体の奥が疼いて、俺は「んっ…！」と声を漏らした。男が腰を引いてまた押し込むたび、濡れた内壁を擦る感触が鮮明で、快感が波のように押し寄せる。動きが徐々に速くなり、根本まで深く突き入れられると、体の奥が熱くなって膝が震えた。嫌なのに、頭が真っ白になって、この感覚に溺れそうになる。
男の息が荒くなり、腰の動きがさらに激しくなった。俺の腰を両手で掴み、角度を変えて突き上げてくる。内壁を擦るたび、鋭い快感が全身を貫き、俺は喘ぎ声を抑えきれなくなった。すると、男のモノが一瞬膨張するように脈打ち、熱い液体が奥に勢いよく放たれた。ドクドクと流れ込む感覚が鮮明で、俺の体がそれに反応するようにビクビク震えた。男が最後に深く突き入れたまま動きを止めると、熱いものが内側に広がり、俺の体が一気に脱力した。男がゆっくり引き抜くと、太ももに温かい液体が流れ落ちる感触があった。息を切らしながらマットに横たわる俺を見て、男が耳元で囁いた。「魔法少女になってよかっただろ？」
その言葉に、俺は自分が女の悦びを知ってしまったことを実感した。気持ち悪いはずなのに、体の奥から湧き上がる満足感と甘い余韻が止められない。男に支配され、快感を与えられたことが、なぜか心地よく感じる。頭では拒否してるのに、体がこの感覚を求めてしまってる。魔法少女になって、こんな形で女としての喜びを知るとは思わなかった。嫌悪と悦びが混ざり合って、俺は自分が何者なのか分からなくなった。でも、この瞬間、確かに魔法少女としての新たな一面を受け入れてしまっていた。
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