その夜、借金取りの男は綾香に告げた。「毎週金曜日にここに来る。そのたびに体で利息を払え」と。冷たく響くその言葉に、綾香の心は凍りついた。男が去った後、彼女は夫に相談した。だが、夫は目を伏せ、うなだれるばかりで、「他に方法がない」と呟くだけだった。綾香の胸に怒りが湧き上がった。かつてIT企業を率いた夫のふがいなさ、無力さに、彼女は歯を食いしばった。自分をこんな状況に追いやった男への苛立ちが、熱い塊となって喉に詰まった。
翌朝、綾香は鏡の前で立ち尽くした。自分の身体に異変を感じたのだ。肌に残る微かな疼き、胸の奥に潜む熱。昨夜、男に愛された余韻が、まるで刻印のように彼女の身体に深く染みついていた。男が彼女と深く結びついた瞬間の感触が、繰り返し脳裏に蘇ってくる。夫との淡白な触れ合いとは異なる、鋭く、執拗な感覚が、彼女の身体を支配していた。
夜になり、夫とベッドに横たわっても、その感覚は消えなかった。夫の寝息が聞こえる中、綾香の身体は男との記憶に引きずられていた。男が彼女と結ばれたときの異質な感触が、熱を帯びた波となって全身を駆け巡る。まるで今この瞬間、夫の目の前で男に犯され、身体を奪われているかのような錯覚に襲われた。夫のすぐそばで別の男に弄ばれる想像が、彼女の心を締め付け、同時に身体を震わせた。理性では拒絶しながらも、身体はその記憶に忠実に反応し、綾香は息を詰まらせた。
夜中、眠りに落ちた彼女の夢の中でも、男は現れた。薄暗い寝室で、男は繰り返し彼女と結びつき、彼女の身体を執拗に貪った。夢の中の男は現実以上に大胆で、彼女の弱点を的確に見抜き、容赦なく責め立てた。綾香は夢の中で喘ぎ、逃れようともがきながらも、その快感に飲み込まれていく。目覚めたとき、彼女の身体は汗に濡れ、心臓は激しく鼓動していた。
男の要求は単なる金銭の回収を超えていた。毎週金曜日に綾香の身体を求めるその姿勢には、彼女を完全に支配し、屈服させることで自らの力を誇示したいという暗い渇望が潜んでいた。初回の行為で、男は綾香の反応を細かく観察し、彼女の感じる場所を把握していた。彼女の首筋に唇を這わせ、指で敏感な部分を焦らすように愛撫し、彼女が最も弱い瞬間を見極めて深く結びつく――その一連の動きは、綾香の身体に忘れられない痕跡を残すための計算されたものだった。
男は綾香の高級な下着を剥ぎ取るのではなく、あえて指で縁をなぞり、彼女の羞恥を煽った。彼女の身体が震え、声が漏れるたびに、男の満足感は増していった。彼の目的は、借金の利息を回収するだけでなく、綾香の気品ある美貌と過去の栄光を踏みにじり、彼女を肉欲の虜に変えることだった。毎週訪れることで、彼女の身体に自分の存在を刻み込み、精神すらも支配しようとする策略がそこにあった。男にとって、綾香は単なる債務者ではなく、征服すべき獲物だったのだ。
綾香の心は葛藤の嵐に飲み込まれていた。夫への怒りと失望が渦巻く一方で、男に弄ばれた記憶が身体に残り続けることに、彼女は深い困惑を覚えた。昨夜の屈辱的な行為は、彼女の誇りを砕き、理性では拒むべきものだった。だが、男が彼女と結ばれた瞬間の鋭い感覚が、夫との愛のない夜とは比べ物にならないほど鮮烈で、彼女の身体はその記憶に囚われていた。
夫の寝息を聞きながら、男の感触が蘇るたび、綾香は羞恥と罪悪感に苛まれた。夫のすぐそばで別の男に犯される錯覚は、彼女の心を恐怖で締め付けた。自分がこんな感覚に支配されるなんて、かつての気品ある自分からは想像もつかないことだった。夢の中で男に繰り返し結ばれるたび、彼女は快感に抗えず、目覚めた後もその余韻に震えた。理性では「こんなはずではない」と叫びながらも、身体は正直に反応し、そのギャップに綾香は混乱し続けた。
金曜日が近づくと、彼女の心は重くなった。男に身体を差し出す屈辱と、身体がその行為を覚えてしまっている事実に、彼女は逃げ場のない絶望を感じていた。夫の無力さへの怒りと、男への恐怖、そして自分自身の変化への戸惑いが交錯し、綾香は静かに涙を流した。彼女の身体に刻まれた男の痕跡は、借金の重さ以上に彼女を縛りつけ、深い闇へと引きずり込んでいくのだった。
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