それからの綾香にとって、金曜日はもはや恐怖の訪れではなく、待ち遠しい瞬間へと変わっていた。彼女は自分でもその気持ちを隠しきれなくなっていた。男が来る時間が近づくたび、心が疼き、体が熱を帯びるのを抑えられなかった。男に愛されるたびに、その余韻は綾香の体の中で強さを増し、彼女を包み込む甘い毒のように広がっていった。繰り返し襲ってくる、男が彼女の中に入り込んだ感触は、もはや苦しみではなく、愛される悦びとして彼女に染みついていた。毎週の逢瀬が、彼女の心と体を男に捧げる儀式となり、綾香はその虜になっていた。
男が寝室に現れるたび、彼の行為は綾香をさらに深く絡め取った。彼は彼女の体を知り尽くしたように、丁寧かつ大胆に愛撫を重ねた。指先で彼女の肌をなぞり、首筋に唇を這わせ、彼女が小さく喘ぐ瞬間を見逃さなかった。彼が彼女の中に入り込むとき、その動きは力強くも繊細で、彼女の最も敏感な部分を的確に捉えた。腰をゆっくりと動かし、角度を調整しながら、男は綾香の反応を楽しみ、彼女を快楽の淵へと導いた。時には彼女の足を大きく広げさせ、時には体を密着させて、男は綾香の体を隅々まで味わった。彼の息づかいが耳元で響くたび、綾香は自分が完全に彼のものになっていると感じた。
男にとって、この毎週の行為は綾香を完全に支配するための仕掛けだった。彼は彼女の心が自分に向かうのを確信しながら、彼女の体を愛することでその絆を強めようとしていた。単なる肉体的な征服を超え、綾香の精神を自分の手中に収め、彼女を他の誰とも共有できない存在に仕立て上げること。それが彼の暗い執着の形だった。彼女が自ら金曜日を待ち望むようになった瞬間、男は自分の勝利を確信し、彼女の叫び声や震える体を味わいながら、支配の喜びを深めていった。
綾香の心は、もはや抗う術を知らなかった。最初は夫への復讐と屈辱から始まったこの関係が、いつの間にか彼女の全てを奪っていた。男に愛されるたび、彼女は自分の中の女としての悦びが膨らむのを感じ、それを否定できなくなっていた。夫の無力さや無言の態度は、彼女の中で冷たい灰のように色褪せ、男の熱い存在感がその空白を埋めていた。男が彼女の中を満たす感触は、夫との記憶を塗り潰し、彼女に新たな自分を見せていた。綾香は、自分の体も心も男に捧げ尽くしたことを認めざるを得なかった。
ある夜、綾香は決意した。自分の気持ちに正直になるために、夫と離婚しようと。男に奪われた心と体を取り戻すのではなく、それを彼に委ね続ける道を選んだのだ。彼女は夫にその意志を告げた。静かな居間で、綾香の声が低く響いた。「もうあなたとはやっていけない。私、離婚したい」。夫は一瞬、目を伏せたが、やがて小さく頷いた。「分かった。俺も…もう無理だと思う」。意外なほどあっさりと、彼は離婚に同意した。その無力な承諾に、綾香は一抹の寂しさを感じたが、同時に解放感が胸を満たした。夫への怒りや失望は薄れ、ただ男への依存と愛情だけが彼女を支配していた。
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