裕子が初めて派遣型風俗店のドアをくぐった瞬間、空気は重く、薄暗い事務所の雰囲気に圧倒された。壁にはけばけばしいピンクのポスターが貼られ、かすかにタバコの匂いが漂っていた。彼女を迎えたのは、店長と名乗る中年男だった。脂ぎった顔に無精ひげを生やし、灰色のスウェットをだらしなく着たその男は、ソファに深く腰かけ、裕子を値踏みするようにじろりと眺めた。「人妻か。まあ悪くない。昼間だけでも稼げるよ」と、淡々とした口調で言い放つ。声には感情がなく、まるで商品を検品するような事務的な響きがあった。
面接は簡単な質問から始まった。「経験は？」「旦那にバレないか？」――裕子が借金返済のためにここへ来たことを正直に告げると、店長はニヤリと笑い、「ならやる気はあるな。いいよ、すぐ研修に入ろう」と切り出した。面接というより、すでに彼女が雇われた前提で話が進んでいた。裕子は戸惑いながらも頷くしかなく、そのまま奥の狭い部屋へと連れられた。そこには簡素なベッドと鏡、消毒液のボトルが置かれ、薄いカーテン越しに外の光が漏れていた。
研修が始まると、店長は態度を一変させ、冷徹な指導者に変わった。「客は金を払ってる。手抜きは許されないからな」と前置きし、彼女にベッドに座るよう指示した。まず手始めに、服の上から軽く肩を触らせ、「こういう風にさりげなく近づくんだ」と説明した。男の手は意外に温かく、事務的ではあったが、指先が裕子の肌に触れるたび、彼女の体は小さく震えた。次に、「客の気分を上げるには言葉が大事だ」と言い、具体的なフレーズを教えた。「『気持ちいい？』とか『もっと触ってほしい？』とか、甘く囁くんだよ」。店長は裕子の耳元で実演し、低い声で囁いてみせた。その息遣いに、裕子は思わず首をすくめたが、恥ずかしさを押し殺して真似してみた。「気持ちいいですか…？」とぎこちなく呟くと、「悪くない。慣れればもっと色っぽくなる」と店長は頷いた。
さらに指導は進み、店長は彼女の手を取り、自分の腕に導いた。「ここから指を滑らせて、胸に持ってく。焦らすのがコツだ」。裕子は言われるがままに動かし、男の汗ばんだ肌に触れる感触に一瞬怯んだ。だが、「客はこれで昂ぶる」と繰り返され、次第にその動作が体に染みついていった。そして最も戸惑ったのは、唇の使い方を教わった時だ。「首筋からゆっくり這わせて、耳たぶに軽く噛みつく。タイミングが大事だぞ」。店長は自ら首を差し出し、裕子にやらせる。彼女は羞恥で顔を赤らめながらも、唇を男の首に這わせた。かすかに塩辛い肌の味と、店長の微かなうめき声が耳に届き、裕子は自分が何をしているのか信じられなかった。だが、「そう、それでいい」と褒められると、奇妙な達成感が胸に広がった。
研修は2時間近く続き、最後に店長は言った。「人妻風俗は昼間が勝負。旦那が会社に行ってる間に稼ぐのがルールだ。明日から客を取れよ」。裕子は疲れ果てていたが、借金を返すためと自分に言い聞かせ、頷いた。人妻専用風俗の日常がこれだと知り、受け入れるしかなかった。
翌日、裕子は新たな生活を始めた。朝、旦那を見送ると、鏡の前で化粧を整え、店から指定されたラブホへ向かった。最初の客は、40代半ばのサラリーマン風の男だった。ホテルの部屋に入ると、男はスーツを脱ぎ捨て、ベッドに腰かけた。「初めてか？」とぶっきらぼうに尋ねられ、裕子は緊張で声が震えながら「はい」と答えた。男は笑い、「ならリードしてやるよ」と言い、彼女の手を引いて自分の胸に押し当てた。研修で教わった通り、裕子は指をゆっくり滑らせ、首筋に唇を寄せた。「気持ちいいですか…？」と囁くと、男の息が荒くなり、「おお、いいね」と呻いた。
最初はぎこちなかった動きも、男の反応に導かれるように自然になっていった。男の手が彼女の背中に回り、服を脱がされると、裕子は一瞬怯んだが、目を閉じて身を委ねた。汗ばんだ肌が触れ合い、男の欲望が彼女にぶつけられるたび、心臓が激しく鼓動した。男は彼女の腰を引き寄せ、ベッドに押し倒すと、荒々しくも確信的な手つきで彼女の脚を広げた。裕子は息を呑み、緊張と期待が入り混じった感覚に襲われた。男が自身の硬くなったものを彼女の内腿に擦りつけると、熱と脈動が伝わり、彼女の体が無意識に反応した。「我慢できねぇ」と男が呟き、彼女の秘部に先端を押し当てた瞬間、裕子は小さく声を漏らした。ゆっくりと、しかし力強く侵入してくる感覚に、彼女の指がシーツを掴み、背中が弓なりに反った。男の動きは最初は慎重だったが、次第にリズムを増し、深い突き上げとともに部屋に湿った音が響き渡った。裕子は息を乱し、男の肩に爪を立てながら、快感と羞恥が交錯する波に飲み込まれた。男が低く唸り、最後に熱いものを彼女の中に解放すると、彼女の体は震え、汗と疲労でぐったりと横たわった。
男が満足げに吐息をもらし、最後に「また呼ぶよ」と呟いた時、彼女の体は疲れよりも奇妙な熱に包まれていた。
数日が経ち、
裕子は驚くほど仕事に慣れ始めていた。最初の緊張や羞恥は薄れ、客とのやり取りはまるで日常のルーティンのように感じられた。朝、旦那を送り出した後、彼女は鏡の前で入念に化粧を施し、店から指定されたホテルやラブホへ向かう。化粧ポーチには口紅と香水が欠かせないアイテムとなり、服も少しずつ大胆なものを選ぶようになっていた。黒いレースのブラウスや、体のラインが強調されるタイトなスカート――それは客を喜ばせるためだけでなく、鏡に映る自分の姿に満足するためでもあった。
仕事に慣れてくると、裕子の動きには余裕が生まれた。ある日の客は、50代の穏やかな会社員だった。部屋に入ると、男は少し照れながら「優しくしてほしい」と呟いた。裕子は微笑み、「もちろん」と答え、研修で教わった以上の柔らかさで彼に近づいた。指先で首筋を撫で、耳元で「ここ、気持ちいい？」と甘く囁くと、男は目を閉じてうっとりと頷いた。彼女の唇が男の肩に触れ、ゆっくりと胸へと下りていくと、男の体が小さく震え、満足げな吐息が漏れた。裕子は男の反応を観察しながら、どこをどう触れれば喜ぶかを瞬時に見極める術を身につけていた。やがて、男の手が彼女の腰に伸び、静かに引き寄せられた。裕子は抵抗せず、彼の膝の上に跨るように導かれるままに体を預けた。男がズボンを下ろし、硬直した自身を露わにすると、裕子はそっと手を伸ばし、柔らかく包み込むように握った。男の吐息が深くなり、彼女を仰向けに倒すと、優しくも確かな力で脚を広げた。彼女の秘部に触れる男の指が湿り気を確かめ、ゆっくりと自身を押し入れた。裕子は目を閉じ、男の体温と重さが彼女を包む感覚に身を委ねた。男の動きは穏やかで、深い愛撫のようなリズムを刻みながら、彼女の中を満たしていった。裕子の唇から漏れる声が抑えきれず、男の肩に手を回してしがみつくと、彼の動きが少しずつ加速し、熱い脈動が彼女の奥深くに響いた。やがて、男が小さく呻き、彼女の中で果てると、裕子は心地よい疲労感とともに彼の胸に凭れた。
行為が終わり、男が「君みたいな人がいてくれてよかった」と礼を言うと、彼女の胸には小さな誇りが芽生えた。
仕事が終わり、ホテルを出る頃には疲れよりも充実感が勝った。鏡に映る自分は、数日前とは別人のように艶っぽく、自信に満ちていた。汗と香水が混じった匂いが体に残り、頬には自然な紅潮が浮かんでいる。借金返済という目的はもちろんあったが、それ以上に、この昼間の秘密の時間が裕子の心を満たしていた。客の喜ぶ顔を見るたび、彼女の中の達成感は膨らみ、男たちの欲望を受け止める行為が、彼女自身の欲望を呼び覚ましているようだった。
夕方、旦那が帰宅する前に夕飯の支度を済ませ、穏やかな妻の顔に戻る裕子。しかし、その裏で彼女の体と魂は、昼間の淫らな喜びに染まり続けていた。風俗での日々が、彼女にとって単なる仕事を超えた何か――生きがいのようなものに変わりつつあった。鏡に映る自分の姿を見つめながら、裕子は小さく微笑んだ。この生活が、彼女にぴったりだと確信していた。
3.こんな生活は続けられないと思った裕子はデリヘルのアルバイトを紹介される<< ページトップ >>5.デリヘルのバイトをしているのを旦那にバレたが優しい旦那はすべて許してくれる
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