ある朝、夫が出勤した後、裕子はいつものように郵便受けを確認した。そこに小さな封筒が入っているのを見つけ、何気なく手に取った。中を開けると、無地のビデオディスクが一枚だけ入っていた。不思議に思いながらも、好奇心に駆られた彼女は夫のビデオプレーヤーにそれをセットした。画面が点灯し、映像が流れ始めた瞬間、裕子は息を呑み、背筋に冷たいものが走るのを感じた。そこに映っていたのは、借金取りの男たちに体で借金を払っていた時の彼女自身だった。薄暗い部屋で、四人の男たちに囲まれ、彼女の裸の身体が彼らの手に翻弄される様子が鮮明に記録されていた。
映像の中で、一人の男が彼女の首筋に唇を這わせ、熱い息を吹きかけながら舌で肌を舐め上げていた。別の男が彼女の胸に手を這わせ、柔らかな膨らみを揉みしだき、指先で敏感な頂を執拗に弄ぶ。もう一人が背後から彼女の腰を掴み、太腿の間に熱を押し当て、ゆっくりと彼女の内側に溶け込むように動いていた。最後の一人が彼女の耳元で低く囁き、彼女の手を取って自らの硬さに触れさせていた。カメラはあらゆる角度から彼女を捉え、彼女が男たちの愛撫に反応し、悦びの声を上げて絶叫する場面が延々と続いていた。裕子は目を離せず、繰り返し再生ボタンを押した。映像の中の自分が、嫌がるどころか快感に身を委ね、喘ぎ声を上げて男たちに応える姿に、彼女は愕然とした。
画面を見つめるうちに、裕子の身体にはあの時の感触が鮮明に蘇ってきた。一人が彼女の内側に熱い衝動を解き放ち、別の男が背後から彼女を強く抱きしめて熱を注ぎ込む感覚が、まるで今この瞬間に起こっているかのように甦った。彼女の肌が熱を帯び、息が乱れ、心臓が激しく鼓動するのを感じた。あの時、確かに彼女は悦びを感じていたのだ。映像の中の自分の声が耳に響き、彼女はその真実を否定できなかった。しかし、同時に恐ろしい現実が彼女を襲った。こんなビデオを夫に見つかったらどうなるか。いくら優しい夫でも、妻が借金取りの男たちに身体を預け、悦びに絶叫する姿を見れば、即座に離婚を突きつけるだろう。夫の愛に守られてきた平穏な日々が一瞬で崩れ去る恐怖に、裕子は震えが止まらなかった。
封筒に差出人の名前はなく、誰がこれを送ってきたのか分からなかった。借金取りの男たちの仕業か、それとも別の誰かが彼女の秘密を握っているのか。裕子はビデオディスクを手に持ったまま、ソファに崩れ落ちた。夫への裏切りを隠し続けてきた罪悪感と、映像で露わになった自分の欲望が交錯し、彼女の心は混乱に飲み込まれた。夫が帰宅する前にこのディスクを隠さなければと焦りながらも、彼女は何度も再生ボタンを押す手が止まらなかった。映像の中の自分が男たちに深く満たされるたび、彼女の身体は疼き、満たされない欲求が再び燃え上がるのを感じた。夫の優しさに感謝しながらも、あの危険な快楽を忘れられない自分に気付き、裕子は涙をこらえた。ビデオを隠す場所を探しながら、彼女は自分がどこに向かっているのかさえ分からないまま、深い葛藤と欲望の間で彷徨っていた。
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