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立志館大学の裏口を抜けて大通りにでると、本屋の先に焼き肉屋があってそこの上が居酒屋らしい。
奧の座敷に案内されて、中にはいるともう料理が用意してある。
だけど祝勝会というのは、勝ったらするもんじゃないのかしら。
料理が用意してあるってことは、負けたらどうするつもりなんだ。
どうなってるんだと思ったけど、後ろから女の子が入ってくるので奧に進んだ。
百合恵ちゃんが正面に立つと、女の子と男の子は交互に座ってねと仕切始めた。
これってただの合コンじゃないのと思って、彩香ちゃんに顔を向けると、彩香ちゃんは平気な顔で男の子の品定めをしている。
確かに今は良さそうな男の子の横に座るのが一番だ。
彩香ちゃんの横に座った男の子は上半身ががっしりしていて彩香ちゃん好みだ。
まだ横にはだれも座っていないので、これはちょうどいいと私はすばやく彩香ちゃんの上を跨いで、男の子の膝にわざと足をぶつけた。
男の子が腰を少し後ろに引いたのですばやく座り込んだ。
だいたい席が埋まったけど、吉田先生の横の席が一つ空いたままだ。
百合恵ちゃんが吉田先生と付き合っているのを知っていて、女の子達は遠慮してるんだ。
まあ遠慮と言っても、彼女のいる男の子の横に座ってもしょうがないってことなんだけど。
ちょうど、恵美ちゃんがどこに座っていいのかうろうろしてるので、百合恵ちゃんが恵美ちゃんを吉田先生の隣に座らせた。
これで席もきまって、いよいよ乾杯だ。
だけど祝勝会と言っても、監督もいないし、乾杯の音頭を取ったのは百合恵ちゃんだ。
あとは、祝辞や選手の挨拶もない。
結局祝勝会といっても東京地区の優勝だけで、そのあとまだ関東予選があって、祝勝会をやるほどの話しでもないらしい。
女子高生と合コンがしたくてそれで、吉田先生が百合恵ちゃんに話しをつけただけのこと。
だけど女子高生といっても、まだみんな入学したばかりの一年生でテニスを始めたばかり。
大学生となんか話しが合うはずなくて、なんとも盛り上がらない。
居酒屋なんか高校生で行くわけもないから、出された料理もだれも手を付けない。
そのうちお酒を無理矢理飲まされた一年生が、気分が悪くなって横になって動けなくなった。
結局盛り上がらないまま、お開きになったけど帰り際に二次会に誘われた。
カラオケに行こうとか言われたけど、なんか気が乗らない。
だけど彩香ちゃんはこんな機会を逃したら大変だという顔。
男の子がタクシーを止めると、彩香ちゃんの手をひっぱって先に乗り込んだ。
タクシーに乗ったりしたら、どこに連れていかれるか分からない。
だけどもう彩香ちゃんが乗っちゃったから、彩香ちゃんを一人で行かせるわけにもいかない。
私が助手席に乗り込むと、男の子は後ろの席に座った。
タクシーが動き始めると、彩香ちゃんはずっと下を向いて顔を上げない。
両脇が男の子ってことは、なんで彩香ちゃんが下を向いてるってのか理由はすぐわかる。
ルームミラーで彩香ちゃんの顔を確かめると、酔った顔で眉がゆがんでる。
男の子が両脇らか、彩香ちゃんの体にアタックかけてるのは間違いない。
これだったら、私が後ろの席に座ればよかったと思ったけどいまさらどうにかなる訳はない。
今度は彩香ちゃんの口元が開いて何度もため息が聞こえてきた。
きっと奧まで男の子の手が届いてるに違いない。
私はやることがないので携帯を出してこないだ作った「現役女子高生デリヘル日記」のページを開けてみた。
「これからタクシーでカラオケに行くところです。タクシーの中で両脇から責められながらこのＢＬＯＧ書いてます」と書くと、自分でもおかしくなって笑いが止まらなくなった。
彩香ちゃんの「現役女子高生ナンパ日記」を開けてみると「今タクシーのなかで口説かれてるの」とたった今書いたメッセージが入っている。
それにさっきの男の子達の着替えの写真も、その後の合コンの写真までもうアップしてある。
男の子の着替えの写真は、特に大写しだ。
口説かれながらも携帯で書き込みをするなんて彩香ちゃんはさすがだ。
ふと気が付いて目を上げるとタクシーの運転手が、私の携帯を見ている。
やばいと思って携帯を閉じた。
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