翌日、久美は懲りずに再び六本木の裏通りへと足を向けた。昨夜の虚しさがまだ胸に残っていたが、身体に刻まれた組織のボスの感触を埋めたいという衝動は抑えきれなかった。今度は相手を慎重に選ぼうと心に決め、派手なドレスと濃い化粧で身を飾った彼女は、誘いの声が響いても簡単には応じなかった。脂ぎったサラリーマン、軽薄な若者、怪しげな外国人――何人もの男が近づいてきたが、久美は冷たく品定めし、首を振って断り続けた。彼女の心は、ただの快楽ではなく、あの深い悦びを再び呼び起こしてくれる相手を求めていた。
すると、群衆の中から一人の男が現れた。黒人の巨漢だった。日本人に比べて一回りも大きく、筋肉が盛り上がった腕と広い肩が異様な存在感を放っていた。彼は旅行者らしく、たどたどしい日本語で「初めて六本木に来たんだ」と笑顔を見せた。久美は得意の英会話で応じ、彼の明るい態度に少し心を許した。男の名前はジェイクだと自己紹介し、「君みたいな美しい人と一緒に過ごしたい」と率直に誘ってきた。久美は彼の体格と自信に満ちた瞳に惹かれ、迷った末にその誘いに乗った。
ラブホテルに着くなり、ジェイクの心づもりが露わになった。彼は観光客としての好奇心と、異国の女を味わいたいという単純な望みに突き動かされていたようだった。ドアが閉まるや否や、彼は久美を壁に押し付け、大きな手で彼女のドレスを乱暴に剥ぎ取った。彼が思い描いていたのは、彼女の身体を自分のものにすることだったのだろう。久美の胸を揉みしだき、首筋に熱いキスを浴びせると、すぐに彼女の脚を割り開いた。行為に繊細さはなく、ただ本能的な衝動が彼を突き動かしているように見えた。
ジェイクが挿入してきた瞬間、久美は息を呑んだ。その大きさに驚愕したのだ。組織のボスとはまた異なる、圧倒的な質量と硬さに、彼女の身体は一瞬硬直した。あまりの衝撃に、悦びを感じる余裕すらなかった。彼の腰使いは日本人とはまるで異なり、野性的でリズミカル、深い角度で彼女を貫いた。女の身体を知り尽くしているかのように、彼は力強く、時に緩急をつけて動き続けた。久美は絶叫した――それは快感なのか、痛みなのか、衝撃なのか、自分でも分からない叫びだった。
ジェイクのスタミナは驚異的だった。普通の日本人なら疲れて果てる時間になっても、彼は疲れを知らずに挿入を続けた。汗が滴り、筋肉が躍動するたび、久美の身体は彼に翻弄された。彼が思い描いていたのは、彼女を完全に支配し、自分の欲望を満たすことだったのかもしれない。彼女の反応を愉しみながら、彼は執拗に腰を打ちつけ、彼女の限界を試すように動き続けた。時間が経つほど、久美の心は混乱に陥った。これは悦びなのか、それともただの衝撃なのか。組織のボスが与えた深い陶酔とは異なり、彼女はただ圧倒されるばかりだった。
やがて、ジェイクが最後の力を込めて力強く突き上げ、果てた。久美はぐったりとベッドに倒れ、「やっと終わった」と胸を撫で下ろした。だが、次の瞬間、ジェイクが財布を取り出し、紙幣を差し出してきた。「楽しかったよ」と笑顔で言う彼に、久美は凍りついた。彼の思惑が完全に露呈した瞬間だった――彼女を一夜の娯楽、買える女としか見ていなかったのだ。衝撃と屈辱が彼女を襲い、ジェイクに抱いていたわずかな好意は一瞬で消え去った。「私はそんな女じゃない」と声を震わせて拒否し、彼女は乱れた服を掻き集めて部屋を飛び出した。
家に戻った久美は、虚しさと怒りに打ちのめされていた。その日以来、彼女は六本木に行くのをやめた。あの黒人の男との行為は、彼女に新たな傷を残しただけだった。そして静寂の中で、再びあの感覚が蘇ってきた。組織のボスに挿入された時の熱く深い感触が、彼女の身体を疼かせた。あの男が特別だったことを認めざるを得ず、久美は自分の欲望と向き合う勇気すら失っていた。彼女の心は、満たされないまま彷徨い続けていた。
5.久美は我慢出来なくなって六本木でナンパされるが期待はずれでがっかりする<< ページトップ >>7.自分の体が組織のボスの男を熱望するのに気がついた久美は苦悩する
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